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花まる学習会 はなコミあきつ

加藤崇彰さんインタビュー

無人島教育のメッカになることを目指して

​ワクワクをキーワードに、

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花まる学習会では、野外体験のプログラムを実施している。ここ安芸津では、2020年から無人島での野外体験を行っている。そして現在は、無人島教育の拠点となる新たなコミュニティースペースである、『はなコミあきつ』を立ち上げようと、クラウドファンディングなど、精力的に活動を行っている。その中心を担っている加藤崇彰さんに、野外体験の醍醐味や、活動の主軸から、安芸津の魅力まで、幅広くお話を伺った。

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花まる学習会は、創業者の、日本における教育は、自立できない大人を量産しているのではないか、といった問題意識から、1993年に学習塾を立ち上げたところから始まった。その後約30年間、花まる学習会では、「メシが食える大人」「モテる人」を育むことを掲げ、「思考力」、「国語力」、「野外体験」を主軸とた、現代における学校教育とは一線を介した教育を提供し続けている。「あなたと仕事がしたい」と思ってもらえるような魅力的な人間へと導く教育を施す、ということだという。その中でも特徴的な教育は「野外体験」だ。

そこで、究極の野外体験といえば、やっぱりロマンが詰まった無人島になるかなと。

そう我々が思った時は、ちょうどコロナ禍だったんですよね。対面授業が出来なくなり、全てがオンラインになって。気分もどんどん沈むなか、少しでもみんなの未来が、ワクワクするものにできればと思い、無人島を購入しました

取材中、加藤さんの口からは「ワクワク」という単語が約10回ほど出てきた。そういえば幼い頃はよく聞いた単語であったが、非日常に付随する感情としての印象を持つ言葉に、いつの間にか変わっていることに気がついた。枠の中で息をする方が生きやすいといった通説は、社会や学校教育という一種の枠組みの中から強要されたようなものであるかもしれない。

「枠を飛び出してワクワクへ。今の時代、枠に縛られて、やっぱりワクワクできない。みんな固定概念という枠を作ってしまう。その枠を取っ払って、ワクワクがこの場所から始まる起点になればいいですね」

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加藤さんがこの場所で始めようとしている全ては、前述した「ワクワク」が主軸となっている。

まず1つは、5泊6日の夏のサマースクール。とはいっても、全日を無人島で過ごすのではない。中日である3日目は本土に戻り、拠点であるこの場所で振り返りをし、残りの2日間をどう過ごすのか、何がやりたいのかを話し合って、計画を立てていくのだという。無人島という何もない場所から、一度設備の整った安全な場所で振り返りをすることで、無人島での野外体験がより質の高いものになっていくのだという。

「子供たちが本土に帰ってきて口にするのは、『床がざらざらしていない』とか、そういうことにひとつひとつに感動している言葉なんですよね。無人島だとすぐ砂がつきますし、すぐ汚れちゃう。そもそも椅子もないですし、無人島には石しかない。だからこんな平らな地面が有るのか、と感動するんですね。これは一つの魅力かなと」

当たり前が通用しない場所に身を置いてみなければ、わからないことはたくさんある。それはこの世の中だってきっとみんなそうだ。目の前の当たり前が、ほんの少し状況や境遇が変われば、困難にも感動にもなりうる。簡単に情報が得られる現代だからこそ、実感の伴ったリアリティのある言葉が意味を成してくるはずだ。

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「無人島という何にもない中で拠点を作っていくんですけど、無人島では『ないではなく、有るを見るべし』を掟にしてます。無人島に行って、あれもないこれもない、ではなく、『じゃあどんなものが無人島には有るのか?』を子供達に投げかけるんです。そうするとみんな頭を働かせて、みんなで知恵を出し合って、サバイバル生活が始まっていくんです。そんな中、ひとりひとりの個人の<個>が立つのをすごい感じますね。個性が立つというか。ユーモアのある子とか、場をまとめる子とか、陰で支えてる子とか色々。一人一人の存在が大きくなるんですよ。一人が欠けても成り立たない。子どもたちをのべ400人くらい見てきましたが、一度として同じコースになったことがない。その<個>の存在が際立つというか、集まっている子たちによって全然違うコースになるんですよ」

そして、<個>を重んじながら今後進めようとしているのは、2つ目として挙げられる山村留学。安芸津外に住んでいる子どもが1人で留学のような形で、安芸津に滞在し、昼間は地域の学校に通いながら生活をするといったものだ。その生活や活動の拠点としても機能する場にしていくことも構想を練っているという。一貫して<個>を重んじる姿勢が見受けられる。

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ここまでは子どものためのスペースであることを強調してきたが、3つ目は、大人も自由に出入りすることができるコミュニティースペースとしての機能も計画しているという。

「ここの場所の活用方法を考えて、話が少し進んでいくと、大人たちもワクワクしたがっていることに気が付きました。だから、みんながワクワクして、思い描く社会になったらすごい楽しいんじゃないかって思って。それを安芸津の人たちと実現したい。

具体的に、ここで今後やろうと思っているのは、安芸津の魅力的な人を集めて、<安芸津100人リレー>というのをやろうとしています。安芸津の面白い人と語りあうイベントを企画しています」

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夢中になっている人の顔は、子どもでも大人でも変わることなく、引き締まっており、なんとも言い難い良い表情をしている。その視線が、瞳孔が、口角が、隣にいる仲間に夢を伝えうる。そういう時に抱く夢とは、言葉にしてしまえば、ありきたりな感動に変わってしまいそうな類の光だろう。人間が扱う言語は、決して言葉だけではないはずだ。だから表情という言語は、水彩絵の具を溶かした水の滲み方のような確かさで、鼓動を伝えられる。そうして、高揚によって少し高くなった体温のことなど感じる余裕もないくらいに、心が動き出す時。やってみたいと動き出す瞬間。そういう時、知識や知見があればあるほど、迷いは揺れる。不安を数えてしまう。それはある種の課題にもなりうるだろうし、杞憂に終わることだってある。だからこそ、近くにいる君の表情を、存在を、空気感を確かめたくなる。目の前の君が光っているから、私もあつくなれる。そんな相互的関係による循環がきっとこの場所では生まれていくことを信じている。

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​あしたに、

はなコミあきつと

「安芸津のひとは、瀬戸内海の海の波のように穏やか。そして、みなさん未来に本当にワクワクしている。安芸津でワクワクが止まらないんです、って話をいつもしている。愚痴をこぼしたとしても、それだけじゃなくて、ならそれをどうしたら良くなるかってところまで話す。そこに魅了されました。
そしてワクワクするためには心が満たされてないと。だから、ここは誰でもふらっと立ち寄ることができる、心が安らぐ、心を充電する場所になればいいな。誰でもふらっときて、ここで誰でも悩みを話して、みんなで話して未来に向けてワクワクしていくっていう場所になっていったらいいなと思っています」

2024年8月20日

​会社概要

店舗名
花まる学習会
​はなコミあきつ
住所
広島県東広島市安芸津町三津4212−14
HP
トモシビファーム
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