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​株式会社 今田酒造本店

​株式会社 今田酒造本店

​有限会社 寿木工

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住岡和美さんインタビュー

良いものを作り続けていくために。

社員を第一に想い、

長年積み重ねたノウハウと技術による、木を活用した制作に取り組んできた有限会社寿木工。大変な時代を生き延びてきた会社の歩みについて、代表取締役の住岡和美さんにお話を伺った。

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社員のための会社

積み重ねてきたノウハウを65年継承し続けてきた有限会社寿木工。創業以来、木を活用した電子ピアノ、スピーカーボックスの制作に取り組んできた。その後時代の変化とともに、現在は内装ドア、ドア枠、間仕切りなどの木質建材の製造事業を主力とし、東広島市安芸津町に白坂(本社)、広瀬の2工場を置く。確固たる技術のもとに大企業へのOEM製造をはじめ、時代の変化に柔軟に応じながら木工の事業を展開している。
現在社員数は36名。地元で生まれて、地元の学校に進学・卒業し、地元の製造業で働く人が多いという。安芸津内で全てを完結させたいと思わせる町に、やはり揺るぎない魅力を感じざるを得ないが、広島の街から一歩も出ない人も多い。それでは視野が狭窄になる。そこで社員に体験や刺激を与え、コミュニケーションを図り、内部のみの世界では感じることのできない何かを感じてもらいたい、という住岡さんの想いから始めたのが若手社員研修だ。若手社員研修では「幸せを感じる働き方」などといった独特なテーマが特徴的であり、人にフォーカスを当てた内容に思われる。
「社員が成長してね、社員から信頼されるのが本質的な企業の存在価値。」
そう話す住岡さん。社員のための手段として木工所をやっている。だから手段は二の次。手段として有用、有益ならば、何屋をやってもいいのだという。人に着目する企業が台頭している世の中であるが、ここまで社員を第一に想う企業は珍しいのではないだろうか。浮ついた言葉で体裁を固めるのではなく、芯のある考えから身を呈する姿勢に、キッと背筋が伸びる。

 

大変な時代の幕開け

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住岡さんが大阪でサラリーマンをしていたとき、世はバブル絶世期だった。日本中が明るく、ドラマのような話も実際に経験した、とても楽しい時間だったという。そんな27歳の住岡さんを一変させたのは、お母さんからの「うちはもうもたん、身体が限界じゃ」という一言。ただその一言が住岡さんの生活を変えた。身体のどこかにスイッチを仕組まれていたかのように、地元に帰り、家業を継ぐ決断を下した。
当時は会社を身内8人で切り盛りしていたため、住岡さんも現場に出て働いていたという。
「仕事がくれば、ずっと働いてましたね。若い時って無尽蔵に時間があるんで。若い時って寝なくても身体がもつから。」
努力をひけらかさずに淡々と事実として受け入れる人には、何人たりとも敵うことのない確固たる強かさがある。その強かさを持ってして、寿木工芸は業績を伸ばしていったのだが、大変な時代はまだ幕が上がってさえもいなかったのだった。

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住岡さんの凄まじい勢いで、利益を出していった寿木工。工場改築、工場整備にお金を充てたという。若さ故のパワーで勢いを増していく反面、仕組み作りにまで手が回っていなかった。その結果、大失敗に終わったのだった。
「組織的にやってないですからね、全部僕がやってたんですよ。そのときには20人弱くらいにまで社員も増えてて。でも、全部僕が機械の設定して、検査なんかも指示は全部やってて。そんな感じだったから、組織的な仕組みができてなかった。」
会社の存続か否かという話も出た。そうして20人ほどいた社員もそのうち半分ほどやめてしまった。そんな時助けられたのは、やはり人だったという。
「最終的に経営なんてほんまに運なんで。運が良かったのよね。いろんな人との出会いが良かったよね。お客さんにも助けられたし、残った社員にも助けられたし。材料屋さんにも応援してもらって。」
辛い時代を生き延びたことが、今の仕組み作りに生きているのがわかる。人に助けられたからこそ、人を慮れるのかもしれない。冒頭に述べた企業の存在価値の話につながっていく。

徹底された整理整頓

限られた時間の中で最大限良いものを作らなくてはならないプレッシャー。そのために無駄な時間を削り、ミスがないよう最大限気を配る。この意識がひしひしと伝わる工場だ。寿木工の整理整頓術やノウハウの伝授を求め、住岡さんのもとへ広島から人が集まるという。チェック体制の徹底、誰が見ても美しいと思える整理整頓のなされた環境。寿木工に仕事を依頼するお客さんの気持ちも、社員のみなさんの気持ちにも触れることができるだろう。二度と過去の大変な経験をしたくない、誰にも体験させたくないのだという住岡さんの毅然とした覚悟が感じられる。

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​あしたに

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寿木工と

「安芸津は人が良いけど、人が良いというのは、人に合わせているからよね。安芸津の中で人にあわせて…でも今の時代そうじゃないじゃないですか。ある程度尖っていないと、生きていけない。」
一見厳しい意見をお持ちのように思えるが、大変な時代に人と共に生きてきたからこそ、人を想った意見でもある。ただ丸いだけでは地域の、会社の、人の発展は見込めない。だからこそ、住岡さんのような町の起爆剤になりうる考えは必要不可欠だろう。
「安芸津は風光明媚で、良い観光地もあって、そこそこの富裕層もいて、内で完結してしまうから、外に出て頑張ろうという考えの人がいないんですよね。でも今回のトモシビファームのメンバーはそんなことないです。なんとかしないといけない、という意識があるので。」
今住岡さんが一番困ることは、働いてくれる人がいなくなることだという。それは地元で生まれ、地元で育った人がいなくなるということでもある。人がいてこそ、会社が、地域が成り立つのだということを改めて痛感させられる。だからこそ今後の安芸津を担う人に発破をかけられる方なのだろう。
明滅するまちの中、寿木工の灯火が安芸津の地で灯り続ける未来が、住岡さんの姿勢から垣間見える。


2023年7月31日

​会社概要

​会社名
有限会社寿木工
​代表者
住岡 和美
電話番号
0846-45-3600
FAX:0846-45-5245
事業内容
内装ドア・ドア枠・間仕切りなど住宅建材の製造、販売
会社所在地
〒729-2404 
東広島市安芸津町大田白坂201
創業
昭和40年10月
E-mail
Webサイト
トモシビファーム
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