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​株式会社 島村材木店

新たな魅力を全国に伝えるために。

島村稔さんインタビュー

維持しながら、

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昭和33年に創業以来広島県東広島市で製材業を営み、「オンリーワンの物創り」を経営基本方針にアピトンと米松の製材を主力としている株式会社島村材木店。おおらかな雰囲気とやわらかい笑顔が素敵な代表取締役の島村稔さんに、スローな風土で歩んできた会社の有り様と、安芸津をどのように感じ、捉えているのかについて、お話を伺った。

取り扱うのは“次世代”の木材

建築や家具などを始め、造船、トラック関係や工場の足元など、昨今全国的に需要が右肩上がりである木材であるが、島村材木店はどのように業界へ関わっているのだろうか。島村材木店は、アピトン材という強靭な耐久性を持つ木材を主に取り扱っている。アピトン材は、最大震度6強並みの揺れがきても、木材が割れにくく、亀裂が入りにくい優れた耐久性がある。これは地震大国である日本において、非常に有用な特徴であるだろう。さらに、水分通導の役割を担っている導管が4mの間、ストローのようにつながっているため、室内の湿度や空気を自ら調整してくれる。日本の四季風土に最も適している素材かもしれない。それだけではない。アピトンが持つ独特なヤニ(樹脂)によって、虫を寄せ付けず、カビも生えにくいため、少々の雨、霧、雪、湿気入ってきても大丈夫な耐水性を備えている。アピトンは他に類を見ない利にかなった次世代の材料であるだろう。それでいて、アイアンウッドの中でもっとも価格が安いのも魅力だ。
「木材に代替するものも出てきてはいるけど、ある一定数はなくならないでしょうねえ。」
そう語る島村さん。2022年のウッドショックによる価格高騰から、木材にこだわらなくても良いのでは、という世論もある中で、日本の重要産業の担い手としてとても逞しい言葉だ。

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60年間続けてこられた隠された秘訣

島村材木店は不動産や建築のみならず、造船やトラック、工場設営のための木材商品の製造が多くを占める。強く、硬く、信用のおける木であることを裏付ける事実である。しかし創業当時から現在のような体制と思いきや、そうではないと言う。
「会社は60年近いんじゃないですかねえ。父の代からで。その時から硬い木はずっと扱ってますが、ここ10~15年で木材を提供する用途を締める割合は変わりました。元々は建築がメインでした。ですが木の建築の時代ではなくなってきた時に、造船やトラック、工場設営に需要がないかと考えまして。それらにシフトしていくうちに、自然と(建築の)割合が減っていきました。」
そう会社の歴史について語る島村さん。会社の強みを把握しながら、しなやかに社会の変化に対応していく姿勢こそが、60年間会社を続けている秘訣かもしれない。

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外部と内部が応答し合い、再度魅力が輝く

安芸津は東広島から約30分、竹原市から約15分、三原市から約50分、西条から約35分の場所に位置している。このことから安芸津は、小さな集落でありながらもアスセスの良さから会社勤務の方を中心に近年移住者が増加傾向にあるという。平日や日中は栄えた街へ、業務後や休日は海と山に囲まれた静かな土地で時間を過ごしたいと思うのだろう。しかし、安芸津の先住民にとっては予想外の結果であった。
「ここ何年かバタバタとアパートが建っていったのを僕らは業者として見てて。絶対無理よね、人入らんよねって思ったんですけど、結構人が入ってるんですよ、これがね。便利がええらしいんですよ。最初はこんな田舎にアパートいっぱい建てて、住んで通う人おりゃせんわいね、って思いよりましたからね。だから僕らが思っとる分と需要が違うねって。」
そう近年の安芸津の動向について語る島村さん。島村さんは安芸津に生まれ、安芸津で育ち、大学卒業後サラリーマンとして数年安芸津の外で働いたのち、安芸津に戻り、現在に至るという生粋の安芸津人だ。それゆえに、安芸津の魅力が細胞のように潜在し、顕著とならなかったのだろう。近年の動向の事例のように、外部からの目によって安芸津の魅力が再度輝き出すこともある。外部と内部が応答し合う、良い事例だ。

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「安芸津が好き」

「僕はこの町が好きですからね。スローなところと、後は人間関係ですかね。いい人が多いこととか、人柄が良いとか。他所からきた人に対しても優しいですね。昔からいる人に聞いてもそうみたいですね。」
やわらかな笑みを浮かべて安芸津について話す島村さん。その風貌が発言を裏付けているかのようだった。他人について「良い」と言える人は優しい。他人を慮る優しさでこの町は溢れているのだろう。安芸津は昔から海のそばと言うこともあり、港町として栄えていた。だから物と共に人の往来も激しかったという。現在も町と町とを結ぶ中間地点として安芸津は昔の名残を残している。風土が人をつくっているのかもしれない。そして人となりの良さが、前述した移住者の多さの理由のひとつでもあるだろう。

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島村さんの発言の中に「スロー」という言葉があった。ゆっくり流れる空気感、静かな波の海、そよそよと囁く山風。その中に存在する人の穏やかさ、環境的な制限の少なさ。確かに「スロー」である。まるで、安芸津のための言葉のようだ。島村さんが介護関係で大芝島に移住された方に、「どうしてここにしたか」を尋ねると、「スローな空間で生活がしたい」と答えられたとのこと。移住後「満足している」と話されていたという。時間に追われる現代に新たな価値観と新たな視点として、スローであることの意義が生まれつつあるのかもしれない。

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​あしたに、

島村材木店と

これから

「うちはローカル工場だからできることがありますからね。曲がっている木のような複雑な造形も小ロットから対応しています。ニッチなニーズが合う人が入れば全国からお問い合わせがありますね。
町の方は、栄えていくことはまずないと思うんで、これ以上人口的にも衰退してほしくないなって。ガンガン栄えて、みんな健康で、が理想ですけど。だから、維持もしながら違う魅力も発信できたらと思っています。」
島村材木店と安芸津の共通項がこれからの話に詰まっているように思う。島村材木店はもちろんのこと、島村さんご自身もまだまだ安芸津でご活躍される、これからが見えた。 

   
2023年7月14日

​会社概要

​会社名
島村木材店
​代表者
島村 稔
電話番号
0846-45-1040
​FAX:0846-45-0097
​定休日
日、祝、第2土曜
事業内容
材木問屋、製造、卸
会社所在地
〒739-2403
広島県東広島市安芸津町風早3163
設立
創業:昭和33年3月
設立:昭和38年3月
E-mail
営業時間
8:00~17:00
Webサイト
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